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「何が可笑しいんですか」 「……いや、別に」 「どーせモテませんよ。彼氏いなくて悪かったですね」 と、やや自虐的な言葉を浴びせかけた後、 「そういう正嗣さんはどうなんですか?」 正嗣はしばし沈黙を守っていたが、低い声でぽつりと答えた。 「……いない」 「じゃー、お互い様じゃないですか」 真琴は喜々として言った。 「正嗣さんって、一見怖いんですよね。凛々しいというよりは相手を寄せ付けない雰囲気が漂ってるしー、眼光鋭過ぎっていうか」 「おい、はっきり言うなよな」 くすくすと楽しそうに笑う真琴の笑顔を正嗣は渋い顔で眺めていたが、 「今日、ずっと杉本さん見てたろ」 真琴は思わず息を詰めた。
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