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見られてた……!? やや強張る真琴の横顔から、窓の外に視線を移し、彼は続けた。 「だから、杉本さんが気になるのかなって」 真琴は一つ息をついた。 誤解されているのが心外だった。 「確かに、彼を見てましたよ」 正直に、言った。 「でもそれはそういう事じゃないから……誤解はしないでください」 小説のキャラ設定のために改めて彼を観察してたと言って、正嗣さんが納得してくれるかどうか――。 しばし、車中に沈黙が流れた。 やがて、吐息に似た正嗣の声がした。 「…つーか、別にいいじゃん、ごまかさなくても」 「ごまかしてなんか」 真琴は語気強く言って、また息をついた。 「…ごまかしてなんか、いません」
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