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二十二時過ぎの、行きつけのガスト。
その一席で、桑原真琴は悩んでいた。
「何とか、三週間後の締切守れそうだよ」
安心した面持ちで、雪華が手にした原稿をとんとんと整える。
「で、真琴の方はどう?」
「んー……」
一方の真琴の表情は沈んでいた。
締切を気にするどころか、全く上がっていない――設定さえ、全然決まらないのだ。
「さては、ネタ決まってないなー?真琴」
心中を見透かしたような、陸の言葉。
彼女は正直に頷いた。
「駄目ー……。全然ストーリーが浮かばないんだよう」
頬杖をついて、深いため息をつく。
夏のイベントまで、二ヶ月を切った。
小説担当の真琴にとっては、時間があるとはとても言えない状況。
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