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「仕事中も気になってさ……、今日一日、何やってたか記憶にないよ」
「真琴、諦めないで」
雪華が強い眼差しで頷いた。
「ネタさえ決まれば、あっという間じゃん。今が産みの苦しみ。辛抱辛抱」
真琴のスロースターターぶりは、サークルの皆が承知していた。
前回の書き下ろしが好評だったせいか、ぎりぎりまで待つとは言われているものの、猶予というよりプレッシャーとしか感じない。
ボーイズラブなんて苦手なのに。
でも、設定さえ決まれば――。
手元のグラスに浮かぶ水滴を見つめる。
もう、遠慮している余裕はない。
真琴は一人、小さく頷いた。
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