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*** 「いらっしゃいませ。本当に来てくれたんだね」 土曜日に男が一人でカフェだなんて、況してやここはスタバじゃあるまいし、慣れないな、なんて思いながらドアを押すと、白い壁とアンティーク調の洒落たカフェだった。 ハルは黒いシャツにスキニーのパンツを穿いていて、メニューを片手に携えるとそのままカウンターの席に僕を誘導した。 「来るよ、昨日メールしただろう」 「うん、ありがとう」 彼女は口角を上げて目を細くした。 笑顔もすこし似てる。 「なににする?」 「ラテで」 「ホット?アイス?」 「ホット」 ハルは伝票に注文を書き付けるとカウンターに戻っていった。 髪の毛はもう少し切って。メイクは薄く。そうしたら、姉だ。 なんてカウンターの向こうを見つめながら思って、は、と息をつく。別に姉と重ねてそう見ているわけではない。ただ、似ているから、つい、そうしてしまうだけ。 そう自分に言い聞かせながら、うつ向いた。 ハルは可愛い。それでいて大人っぽくて、笑顔の向こうになにを考えているのか分からない。それが、いい。  
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