ひとつめ

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「それではオリエンテーションの続きをしよう」 男性は教壇に立ち、黒板にチョークを走らせる。 九鬼 郁 「クキ カオルだ。これから一年間貴様らの担任を務めることになった。 俺の能力は『電気制御』だ。俺に逆らったり口答えをしたら……分かっているよな……」 九鬼は目の前に座っている春に目をやる。目の合った春の額からは汗が吹き出し、肩が小刻みに震えている。 「自己紹介はこのくらいにして、本題に移ろう」 怯える春なぞ露知らず、九鬼は再び教え子たちに顔を向ける。 「この学校に入学したということは貴様らには俺の『電気制御』のように何らかの『能力』を持っているということだ。 これは世に言う『超能力』であるが、この学校ではその能力を開発し進歩させることが目的とされている」 クラスが静まり返る。 怯えていた春でさえ真剣に耳を傾ける。 「なぜ能力を開発、進歩させるのか。なぜ入学の際多くの人間を篩にかけるのか。 その答えは至極単純。 能力は危険なものであるからだ」
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