ひとつめ

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春が振り向くとそこには一人の男性がいた。 「え、いやあの……」 「なぜここにいるのか聞いているのだが、桜ヶ丘高等学校一年の桜木春」 「な、なぜ名前を……」 「そんなことはどうでもいい。なぜここにいるのかと聞いているのだ」 男性のかける眼鏡の奥から鋭い眼光が光る。 その鋭い眼差しに春は完全に萎縮してしまった。 「ふん、大方遅刻して学校にやって来たが校門のセキュリティに引っ掛かり、パスワードを持っていなかったので仕方なく塀を越えようとしたところ鞄が燃やされ警報が鳴った、と言ったところだろう」 全て図星の春は何かを言い返せる訳もなく、ただその頭を垂れることしか出来なかった。
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