あぶくたった

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階段を下りる時、ふと窓の外からハム工場が見えた。                               アブクタッタ 煮エタッタ…                               「!!」 先ほど聞こえた笑い声の主が、今度は私の耳元で歌っている……! 幼い女の子の声だ…      「誰なの!? いい加減にして!」                                    煮エタカ ドウダカ 食ベテミヨウ                                    「やめて! もうやめて!!」 私の叫び声は薄暗い階段に虚しく響くばかり…                                    ムシャ ムシャ ムシャ…                                                                                                     マダ煮エナイ…                          「いやッ!!!」 耳を塞ぎながら、まるで転げ落ちるかのように、私は急いで階段を下りた。
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