ゆ~かいぶ①

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「…………はぁ、ここもねぇな。ちょっくら店員にでも聞いてみっかな……」  レジに向かい、店員に話しかける。 「あの~、すみません。昨日発売した『デジタルオンライン』の新巻は置いてありますか?」  店員は少々お待ちくださいと言って、手馴れた手つきでパソコンを操作し始めた。  五分も掛からないうちに作業を終わらせた店員がこっちを見た。 「残念ですが、お客様がご希望する商品の在庫がございません」 「そうですか……」  がっくり肩を落とした俺は店員に一礼をして、この場を立ち去ろうとしたが――。 「えーと、ちょっとよろしいですか?」  突然店員に呼び止められた俺は、ふと足を止めた。 「はい?」 「少々時間は掛かりますが、取り寄せということもできますが、いかがいたしますか?」 「それじゃあ~、お願いします」  かしこまりました。と店員は返事をした後、どこかの書店に問い合わせてくれた。  在庫確認にそれなりに時間を要したが、結果在庫があったようだったので頼むことにした。  その帰り、上機嫌の俺は偶然にも結菜が一人で帰っているのを発見した。何の迷いもなく彼女の元へ走り寄った。  おーい、と呼び掛けると結菜はこちらの存在に気づき、少し驚いた様子をみせた。 「あっ……慶汰、どうしたのこんな所で?」 「そう言う結菜もどうしたんだよ」 「ちょっとね……。そんで慶太は?」 「そこの書店に寄った帰りだ」 「探してたのはあった?」 「まぁな、でも在庫が無かったから、取り寄せてもらうことにした」 「だからそんなに上機嫌なのね」 「おう!」  俺は何かを思い出し、あっ、と声が漏れた。 「どうしたの?」 「部活の時に話した娘のこと覚えてる?」 「そりゃあもちろん! ……で、それがどうしたの?」 「明日もう一度、勧誘しようと思うんだけど……結菜も一緒に来てくれないかな~っと思ってな」 「いいよ、その娘について少し気になっていたからちょうどいい機会だし……」 「よし。それじゃ明日の昼と放課後に探しに行こうぜ」 「りょ~かい」  会話が終わる頃にはそれぞれの自宅の前に到着していた。  とりあえず一旦別れ、二人は家のへ入って行き、暫くして結菜が自宅へやって来た。
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