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「さっきの書いておかなきゃ」
今朝と同じノートを取り出し、今度は“萌”と書かれた名前の下の白に正の字の線を一つ書き足した。
じゃ、帰るか。
かばんにノートを含めた教科書などをつめ、席から立ち上がる。
気づくと教室にはもう誰もいなかった。
教室の電気を消し、出ようとした時、振り返り際になにかとぶつかった。
ぶつかった衝撃で俺は半分開いていたかばんの中身を教室の床にぶちまけてしまった。
「すみません」
俺は、なににぶつかったか確認をせずに謝り、床にばら撒いた教科書たちを拾い集める。
「こっちこそ、ごめん」
謝り返してきた声は、聞き覚えのある女の声であった。
「拾うよ」
そう言って、床にばら撒かれた教科書たちを一緒に拾った。
「はい、どうぞ」
拾い集めた教科書を両手で俺に渡してきた。
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