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主を大ぬる者と噂され、同盟の約定を反故にされ。
そんなことをされれば、誰だとて怒るのが道理だ。
それはまっとうな怒りで、その怒りを燃やした臣下を止め、禁める術を長政は知らない。
よしんぼ長政が止めたところで、彼らは父を大将と祀り上げ、信長に牙を剥いただろう。
人の心は縛れない。好き勝手にいじれない。
信長はそれに気付かなかった。
気付いていたのかもしれないけれど、天下の大事の前ではそんなことは瑣末なことだと思ったのかもしれない。
それは長政にはわからない。
けれど。
人の心を推し量れない時点で。
……信長には、天下を治める器などないのではないだろうかと、長政は思った。
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