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どれほど辛くとも、その辛苦に耐えることも、また主君の役目。
いまは耐え、きっと再び立ち上がる。
猿夜叉なら成すだろうと信じられるから、いまは堪えられる。
臣下がそう覚悟を決めたと言うのに、自分がこんなざまか。
猿夜叉はきつく唇を噛んだ。
父、久政には、祖父、亮政のように、滅亡寸前に追い込まれても、尚、立ち向かうと言う賭けをする気概は無いだろう。
おそらくはその麾下に降ることで長らえる道を、確実な道を選ぶ。
それは、猿夜叉が思う守り方とは似ても似つかないものだが、それでも、それが父が思う最良だとも解る。
これ以上、血を流さないための、いちばんその願いに見合う選択。
久政とて浅井家の当主、一族を絶やしたくは無い、その思いは同じ筈。
ならば、大丈夫だ。
自分が生ある限り、きっと、浅井は何度も這い上がる。
たとえ、ひととき落ちぶれようとも。
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