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猫はそのまま道路へと出て行ってしまい、それを追いかけていた亮ちゃんもまた道路へと出てしまった。
ちょうどその時、信号が赤に変わった。
危ないと思い、亮ちゃんの名前を呼ぼうとした時、
「え……?」
おれの視界から亮ちゃんが消え、変わりに亮ちゃんが立っていたあたりにトラックが止まった。
確かに聞こえた、ドンッ、と何かがぶつかる音。
その直後に聞こえたゴキッ、ボキッ、という何かが折れる音。
そして俺の顔にかかった生暖かいなにか。
あたり一面に、亮ちゃんの匂いが広がった。
でもその匂いは、だんだんと血の匂いと混ざりあってあたりにむせ返った。
よく見ると、あたり一面に広がる、赤、朱、紅、緋、血……
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