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その途中、建設中のビルの前を通りすぎようとした時、周りの通行人はみな立ち止まり、口を開けて驚いたような顔をして上を見上げていた。
それにつられて俺らも立ち止まり、上を見上げた。
俺の目に飛び込んできたのは落下している鉄柱だった。
そのまま落下してきた鉄柱は俺の隣に突き刺さる。
でも、そこには亮ちゃんがいて……
おそるおそる隣を見ると、亮ちゃんの体にはお腹のあたりに鉄柱が突き刺さっていた。
再び広がる赤、朱、紅、緋、血………
「あ、あぁぁ………」
後ろのほうでつんざくほどの悲鳴や救急車を呼ぶようにと叫ぶ声が聞こえる。
でも、今の俺には救急車を呼ぶ余裕もなく、ただ震える手で、亮ちゃんのだらりと垂れた手を握った。
その時、俺の耳元で可愛らしい風鈴の音が響いた。
そこでまた、周りの音が消えた。
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