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「俺、思うんだけどさ、惚れた相手をみすみす逃して後日探す、なんて面倒な手段を取った王子は腑抜けだろ。とっとと捕まえてしまえばよかったんだよ、こんな風に。」
「ガラスの靴の存在意義は!?」
「知らん、そんなもん、いらん。」
王子様はシンデレラを抱きしめたまま、きっぱりと男らしく言い切りました。
…あらま、ガラスの靴涙目ですね。
ていうか、物語のクライマックス、総無視ですね。
呆然とするシンデレラ。
ちなみに魔法はとっくに解けてしまっているので、シンデレラは元の地味な灰色の服に衣裳チェンジしています。
しかし、王子は彼女のみすぼらしい姿を見て、にっこりと笑いました。
「…貴女がどこの身分の者であろうと関係ない。俺は貴女を妃に望みます。」
王子様はそんな完璧な台詞を口にし、完全に〆に入っちゃってます。
それも、世の女性を一瞬で虜にしてしまうような甘くとろける笑顔で。
…シンデレラは引き続き絶句しているようですが。
―しかし、台本がだいぶ書き変わってしまいました。もう無茶苦茶です。
どうしましょうねえ、こんな結末でいいのでしょうか。
あ、でも審査員は『これでも全然アリ!!』と言ってますね。鼻血を出してる女性もいます。
…まあ、イケメンは何やっても許されるってやつですね。
これでよしとしましょうか。
「なー、もう帰っていいだろ?劇終わったし。」
そうですね、いいですよ。どうぞ彼女ごと持ち帰っちゃってください。
「ちょっ!物語ぶち壊しっ!?」
物語の冒頭からぶち壊した貴女にとやかく言う権利はありません。
ほら、とっとと行きなさい。リア充が。
「ほら行っていいって。てか我慢できないから、ここで襲ってい?」
「ちょーっ!?」
こうして王子様に捕まったシンデレラはそのまま城に留まり、幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし♪
「めでたくない!めでたくないからー!」
END
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