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「―で、何すんの、今から。」
「劇をやれだと。ほら、台本。」
「は?私も出るの?めんどくさい。」
「主役のお前が出ないでどうすんだよ。とっとと衣裳に着替えろ。」
「わー!分かったから脱がそうとすんなっ!」
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むかしむかし。ある所にシンデレラという女の子がいました。
シンデレラは優しい両親と一緒に幸せに暮らしていましたが、ある日母親が病死してしまいました。
それを悲しんだ父親は、再婚し、新しい母親を家に迎えました。
彼女にも娘が一人いたので、シンデレラの家は一気に4人家族となったのです。
家族が増え、喜んだシンデレラ。
しかし、彼女たちはとんでもない性悪女だったのです。
「ちょっと、誰が性悪よ!」
「…撤回をお願いしていいかしら?」
…あ、すいません、未央さん、麗奈さん。ナレーションに突っ込まないでくれますか?
これ、一応聞こえてない設定なので。
…えーと。そうそう。
その後彼女らの…その、あまりよろしくない本性は、シンデレラの父親が亡くなってから現れるようになりました。
彼の遺産を手にした母と娘は、シンデレラをまるで使用人のようにこき使うようになったのです。
シンデレラは毎日毎日、家の掃除から洗濯、料理、果ては母娘の身の回りの世話までまかされました。
「シンデレラ!洗濯物をたたんでちょうだい!」
「シンデレラ!私のイヤリングはどこ!?」
容赦なく飛んでくる継母や義姉の言葉。
哀れなシンデレラは過酷な労働の日々に、みじめに泣き暮らして…
…あれ?そうでもない?
…意外と楽しんでいるようです。
料理とかプロ顔負けのお手並みですし。のんきに鼻歌なんて歌っていますし。
結構この生活、あってるんじゃ…………。
ま、まあ、何はともあれ。そんな日々を過ごしていたわけですよ、彼女たちは。
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