「ジャックと豆の木」

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「ねえ、お姉さん。あの男、まだ何かイイ物持ってんじゃない?」 「え?」 「これだけ立派な城だ、他にもお宝がありそうだね。」 「え、貴方まさか…」 「もう少し、もらっちゃおうかな。」 そう言って、ジャックはまたニヤリと悪い笑みを作ります。 …強欲ですね、ジャック。 やっぱり貴方、『正義』とか『善』とは無縁なのでは? 主人公補正をかけても正されないレベルの酷さですよ、貴方の性格は。 ―― 「お、これか、お宝は…。」 有言実行なジャックさん。 困惑する奥さんの案内の元、 倉庫の中を漁っていると、巨人のお宝を発見しました。 黄金に輝く金の鶏と、女性の飾りがついた大きな竪琴(ハープ)です。 どちらもジャックが目にしたことない、素晴らしい品でした。 ジャックは試しに金の鶏を持ち上げます。 「ん?誰、君。」 「うわ、しゃべるんだお前。」 「そうだけど…御主人は?」 「これからお前は僕が頂くから、御主人は僕になるよ。」 「あら、なら私も?」 「そうだよ、ハープさん。貴女も僕のものだ。」 言葉を話す鶏とハープに、自分勝手な発言を返すジャック。 ……。 もういいや、ツッコミませんよ、私は… つーかここまで来たら逆に清々しい悪ですよ。 マジで歪みねぇな。 「―そういや、あの巨人。めちゃくちゃ機嫌悪そうだったけど、何かあったの?」 ―と、ジャックは先程の巨人の様子を鶏に聞きました。 鶏は羽をはばたかせ、『ああ、あれね。』と答えます。 「実は今、聖悟さ、ナツちゃんと絶賛ケンカ中なんだって。」 「へー、そうなんだ。」 「………。」 話を振られ、そっぽを向くハープの女性。 ジャックはそれを面白そうに観察しながら、鶏に先を促します。 「なんかナツちゃんが大事にしてた本にラーメンの汁ぶっかけたんだって。」 「…それは確かに最悪ね。」 「わ、いつの間にか奥さんも会話に入ってきてる…」 「まあ、細かいことはいいじゃない。」 「そんでさ、聖悟も素直に謝らないもんだから、ナツちゃん怒っちゃって。もう5日、口聞いてないらしいよ?」 「あーあ…それはまた…よくもそんなことができたもんだ。」 「ナツちゃん、逃亡スキル高いからね。」 「成る程。で、その色々と限界な時に、無理矢理劇に参加させられてるってわけか。」 「そーいうことだよ。」 .
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