「ジャックと豆の木」

10/11
301人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「あーあ、ありゃ説教タイムだろうね。」 「どっちの?」 「ナツさんに決まってるよ。ま、僕らには関係ないことだけど。 …じゃ、巨人からの許可も出たし、地上に戻るかな。」 残されたジャックは、おもむろに金貨の袋と金の鶏を持ちました。 そして豆の木を下るため、城の外に―― ――って、ちょっと待って下さい! こっちがしばらくナレーターに徹してたら…何をしてるんですか、貴方たち! 追いかけてくる巨人は! 命からがら逃げ出して木を切り倒すシーンは! どうするんですかっ!? 「いいじゃん、別に。円満に終われば言うことなしだよ。」 「そうそう。巨人が地上に落ちて死ぬとか、ちょっとグロイしね、あのシーン。」 いや、だからそういうことじゃないんですってば! あーーもう! この物語ブレイカーどもがっ! 原作者が見たらどう思うんでしょうね、この寸劇! 「そんなん、俺らに関係ないし。そもそも俺、こんな劇出演したくなかったんだよね。」 「あれ、なんか用事あったの?」 「うん。妹の文化祭、見に行く予定だったのにさ。」 「あー、だからか。拓史もちょいちょい機嫌悪そうにしてたもんね。」 「そうそう。」 いや、聖悟くんもそうですけど、そんな私情持ち込まれても知りませんからっ! てか今回、出演者の不機嫌率高っ! …あーあ、 もう新キャラをいれても展開になんら変わりはないんですね、この童話劇は…。 もういいです、今回も無理矢理〆ちゃいましょう。 こうして巨人から金貨と金の卵を産む金の鶏を奪ったジャックは、大金持ちとなり母親と幸せに暮らしましたとさ。 めでたし、めでたし。 ……? あれ? そういえばいなくなった巨人さんとハープは…? END .
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!