「ねむり姫」

2/13
301人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「ホーホッホ!やっと来たわね、私の時代が!!主役よ、主役―!」 「未央さん、うるさいわよ。」 「あー、ようやく俺、休みか。じゃ、高みの見物といくかな。」 「くそ、ずるい聖悟。私、まだ一度も休んでない…」 「まあまあ。それより、今回すごいね。乾家、勢ぞろいじゃない?」 「圭ー!兄ちゃんが来たぞー!」 「……黙ってくれませんか、兄貴。」 「ふふ、なんか参観日みたいねぇ。私も劇に参加していいのかしら…」 「いいと思いますよ。僕みたいなオッサンも出てるわけだし。」 「確かに、マスターと乾のお母さんだと明らかにマスターの方が年上に見える。」 「那津ちゃん…それは傷つくな。」 「つーか、俺の役、何?超モブじゃん!必要なくね!?」 「え、王子様役って乾圭太朗のお兄さんなの?お会いしたことないわ、どの方?」 「あ、俺俺。未央チャンだっけ?よろしくなー。」 「…き、金髪?ちょっと、軟派な男性は遠慮したいんだけど…」 …ああもう、どうでもいいから、全員、舞台にあがりなさいっ!! もう幕があがりますよ! ********** ようこそお越し下さいました。 本日も、童話劇を始めさせていただきます。 今回のお話は『ねむり姫』。 『眠れる森の美女』、『いばら姫』とも言われる有名な童話で、 物語の展開には諸説あるようですが、今回はグリム童話版です。 それでは、はじまり、はじまり… むかしむかし。 童話はいつもこの始まり方ですが、今回も例外なくそのパターンです。 とある王国に、王様と王妃様がいました。 彼らはずっと子供を欲しがっていたのですが、ふたりの間にはなかなか子供ができませんでした。 ある日、王妃様が水浴びをしていると、一匹のカエルに 『あなたが望めばその願いは叶うでしょう。あなたは一年以内に娘を生みます』 と言われました。 そして、一年後、カエルの言った通りに王妃はかわいらしい女の子を出産しました。 .
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!