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「ホーホッホ!やっと来たわね、私の時代が!!主役よ、主役―!」
「未央さん、うるさいわよ。」
「あー、ようやく俺、休みか。じゃ、高みの見物といくかな。」
「くそ、ずるい聖悟。私、まだ一度も休んでない…」
「まあまあ。それより、今回すごいね。乾家、勢ぞろいじゃない?」
「圭ー!兄ちゃんが来たぞー!」
「……黙ってくれませんか、兄貴。」
「ふふ、なんか参観日みたいねぇ。私も劇に参加していいのかしら…」
「いいと思いますよ。僕みたいなオッサンも出てるわけだし。」
「確かに、マスターと乾のお母さんだと明らかにマスターの方が年上に見える。」
「那津ちゃん…それは傷つくな。」
「つーか、俺の役、何?超モブじゃん!必要なくね!?」
「え、王子様役って乾圭太朗のお兄さんなの?お会いしたことないわ、どの方?」
「あ、俺俺。未央チャンだっけ?よろしくなー。」
「…き、金髪?ちょっと、軟派な男性は遠慮したいんだけど…」
…ああもう、どうでもいいから、全員、舞台にあがりなさいっ!!
もう幕があがりますよ!
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ようこそお越し下さいました。
本日も、童話劇を始めさせていただきます。
今回のお話は『ねむり姫』。
『眠れる森の美女』、『いばら姫』とも言われる有名な童話で、
物語の展開には諸説あるようですが、今回はグリム童話版です。
それでは、はじまり、はじまり…
むかしむかし。
童話はいつもこの始まり方ですが、今回も例外なくそのパターンです。
とある王国に、王様と王妃様がいました。
彼らはずっと子供を欲しがっていたのですが、ふたりの間にはなかなか子供ができませんでした。
ある日、王妃様が水浴びをしていると、一匹のカエルに
『あなたが望めばその願いは叶うでしょう。あなたは一年以内に娘を生みます』
と言われました。
そして、一年後、カエルの言った通りに王妃はかわいらしい女の子を出産しました。
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