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「ああ、なんと可愛い女の子だろう!」
「ええ、本当に。私たちの宝物ね。」
待望の子が生まれて、王も王妃も大喜びです。
早速、祝いの場を設けようと、盛大なパーティを開くことにしました。
「そうだ、この国の魔女たちも招いて、この子に祝福を与えてもらおうじゃないか。」
「あら、それはいいわね!…でもあなた、魔女たちのためのお皿が12枚しかないわ。魔女は全員で13人でしょう?」
「おや、それは困ったな。…しょうがない。13番目の魔女は招待しないでおこう。『13』という数字は不吉でもあるし。」
「そうね。」
王妃はその美しい腕に赤子を抱きながら答えました。
王もでれでれとしながらその様子を見ています。
―あ、それ以上近づかないでくださいね、王様。
その人、リアルでは人妻ですし。
下手なことをすると、彼女の息子たちが舞台袖からパチンコを撃ってきますよ…
…そうそう。
それでいいんです、賢明ですね。
さて、こうして直立不動の王とにこやかに笑う王妃を中心に、
親族や知人、そして12人の魔女が招かれた盛大な宴が催されることになりました。
それは、贅の限りをつくした豪華なパーティでした。
招かれた人々は皆笑顔で生まれてきた王女に祝福の言葉を告げます。
そして、宴の最後に、12人の魔女たちも王女の傍に寄ってきました。
王女に祝福を与えるのです。
まず、1番目の魔女が杖を振り、王女に向かって言いました。
「では、私からは『美』を。王女様は世界で一番美しい女性になるでしょう。」
静かな声でそう告げた魔女はお辞儀をして下がりました。
続いて2番目の魔女が王女に近づき、笑顔で杖を振りました。
「私からは『徳』を。王女様は素晴らしい人格の持ち主となり、慈愛の心ですべてを包み込むでしょう。」
2番目の魔女も、淀みなく、そう告げました。
…なんだか、彼が半笑いだったのは気のせいでしょうか。
どうも私には『素晴らしい人格(笑)』、『慈愛の心(笑)』に聞こえたのですが。
……ま、気のせいですよね。
次、行きましょう。
こうして王女は『富』や『知』など、ひとりひとりの魔女から素晴らしい素質が授けられました。
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