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藤倉でも阿久津でもない声がした方へ向くと、浅葱色の羽織りを来た男が立っていた。
纏う威圧感が尋常ではない。
「壬生狼――!!」
「"新撰組"だッ!!!
覚えろ!!」
浪士組が現れてから数ヶ月が経っている。
藤倉の耳にもいくらかの情報が入っているが、多くはない。…幹部格の剣豪・沖田総司もなんとなく聞いたことがある程度である。
局長・近藤勇、副長・土方歳三、あとは山南敬助、斎藤一………
カキン!!!
「おい、恭彩何ぼーっとしてんだ!!あぶねぇだろ!?」
「悪い…」
藤倉が野盗の一人を振り払ったところで、新撰組の男が自分らと野盗の間合いに入ってきた。
「私が片付ける。
下がっていろ」
「………。」
そして、ものの見事に片付いた。
命までは取りはせぬ、ということで野盗たちは傷だらけのまま一目散に逃げていった。
ふと気付いた。当たり前に左に刀を差しているが…この男、左利きか。
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