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「はい、紹介しますよ。」
しれっと言った、桂。
今日出会う人は自由人ばかりなのか!?…自問自答する藤倉は、阿久津がまともに見えてきた。
「吉田、晋作、帰りましたよ」
「どこぞの母ちゃんかよ…」
「お帰り、桂さん。
……後ろの誰?」
カチャリ..と傍らにあった刀に手を添える男は、"吉田"と呼ばれた。とすると、その隣りの男が"晋作"か。
………ん?
「確か…"栄太郎"さんでは?」
「!!……何故、知っているの?」
あ、しまった!!!
口に出してしまった。
平静を装っているが、吉田は今にも切り掛からんばかりの殺気を出している。
「以前、甘味処"たらふく"に寄られましたよね?私はそこの店主です。盗み聞くつもりはなかったのですが、お名前が聞こえたもので…」
藤倉は、できるだけ早く正確に伝えた。…こんなところで死にたくないのでね。
「あぁ―……思い出した。
稔麿、あの甘味屋だ。」
「はいはい、なるほどね。
まぁ世の中、聞いちゃいけないこともあるってこと…覚えといて」
……帰りたい、本気で。
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