三舞*長州の浪士

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「はい、紹介しますよ。」 しれっと言った、桂。 今日出会う人は自由人ばかりなのか!?…自問自答する藤倉は、阿久津がまともに見えてきた。 「吉田、晋作、帰りましたよ」 「どこぞの母ちゃんかよ…」 「お帰り、桂さん。 ……後ろの誰?」 カチャリ..と傍らにあった刀に手を添える男は、"吉田"と呼ばれた。とすると、その隣りの男が"晋作"か。 ………ん? 「確か…"栄太郎"さんでは?」 「!!……何故、知っているの?」 あ、しまった!!! 口に出してしまった。 平静を装っているが、吉田は今にも切り掛からんばかりの殺気を出している。 「以前、甘味処"たらふく"に寄られましたよね?私はそこの店主です。盗み聞くつもりはなかったのですが、お名前が聞こえたもので…」 藤倉は、できるだけ早く正確に伝えた。…こんなところで死にたくないのでね。 「あぁ―……思い出した。 稔麿、あの甘味屋だ。」 「はいはい、なるほどね。 まぁ世の中、聞いちゃいけないこともあるってこと…覚えといて」 ……帰りたい、本気で。
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