三舞*長州の浪士

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………ちゃぽん ………… 「恭彩…俺、帰りたい」 ぐずる幼子みたいなことを言う阿久津だが、藤倉も同感である。 「さっさと、帰りましょう。」 ぽかぽかと温まった身体で部屋に戻り、戸を引いた。 御膳が……5つ。 ……… 「湯加減どうでしたか? どうぞお召し上がりください」 「いや、か…… …いただきます」 奥に座す吉田の視線が刺さる。 "僕たちとは食事できないの?"と…。 「君たちって、"ただ"の甘味屋なんだよね?」 御膳の煮物をつつきながら吉田が尋ねた。質問の意図は、間者なのか否か…見極め。 「はい」 「いいえ…とは言うわけないか。国は?」 何なんだ。 どれだけ人を疑えば気が済むのか。少しムッとした藤倉。 「生まれは、江戸です」 「気を悪くされたのなら、すみません。 吉田は…少々苛立っているのです」 …見ればわかる。 「桂、さん?誰のせいだと思っているの? …ごみ溜めに置いてきてくれてもよかったのに。 恭彩さん、このご時世だからね、全てを疑わざるを得ないんだよ。すまないね」 吉田のその言葉で、空気がやんわりとなった気がした。
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