一舞*京の町商人

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カカガンッ!!! ズシャーッ 暖簾を持った男は、竿の端を走ってきた男の脚目掛けて振り払った。 見事男は転倒。 拍子に風呂敷包みから、色鮮やかな反物が転がった。 「朝っぱらから泥棒ですか? 元気なものですね。 …全く、物騒です」 「お、おめぇが…言うなッ」 男は暖簾を放り、懐刀を盗っ人の首元に当てていた。 男はそっと盗っ人に耳打ちした。 「…このまま奉行所行きますか? 腹なんて切らせませんよ? とりあえず盗ったものと……そうだな、竿代もらっとこうか」 ……この男の方が、悪人かもしれない。
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