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全く、手のかかる奴…。
「あとは、裏切り者は薩摩藩から発見され次第、捕縛。新撰組にばれても容赦なく……。
大丈夫です。立派な町人ですよ、争い事とは無縁です」
「恭…彩……
これが男と女なら、間違いなく恋に落ちるところだよな…」
「独りで落ちてろッッ!!!」
心配して損した。
渾身の一撃を阿久津にお見舞いして店の奥に下がった。
「ふ……ククッ」
ふいに笑いを零す藤倉。
いつもの阿久津に戻ったようだ。うざさも健在である。
阿久津の心配していることはわかる。この動乱の世に素性が暴かれること、私も…同じだ。
刀を持ち戦いたくない。殺し合いたくない。……このご時世に甘っちょろい考えだとわかっている。
帯刀していなくても良い時代が来ることを、切に願う…。
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