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「……阿久津ですか」
「何カッコつけてんだよ。余計惚れちまうだろー?」
「うるさい。黙れ。
気持ち悪いことを言うな」
ひでぇ…と呟きながら店の影から出てきた男は、阿久津傑(アクツ スグル)。
……まずは善良なのか何なのか解らない男から説明するとしよう。
藤倉恭彩(フジクラ キョウサイ)
ここ京で、甘味屋を営んでいる。…今はこのくらいにしておこうか。
ちなみに、阿久津は友人だ……多分。
(雑だな、オイ…)
「で?今日は何用ですか?」
藤倉はやや鬱陶しさを交えた声色で言った。
さっきの一悶着で汚れた暖簾を竿から外し、傷んだ竿は隅に置いて店に入る。
「冷たくすんなよー。淋しいじゃんか。」
「………」
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