5256人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい」
「……」
「おい」
「……」
セイシアに反応がない。神木は続けて、
「おい」
「……」
「おい」
「……ぅ……」
神木の呼びかけにセイシアはようやく気づくと、小さな声を漏らしてうっすらと瞳を開け神木を見る。
「……げ……て……」
「……あ?」
「に…げ……て……」
セイシアは言った。
逃げて、と。
この状況の中、自分の状態を知っていながら、自分が死ぬと分かっていながら、
それでも言う。
自分より他人の命を心配して、セイシアは言った。
逃げてと。
「…………」
そんなセイシアの姿を見て、神木はこう言った。
最初のコメントを投稿しよう!