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「おい」 「……」 「おい」 「……」 セイシアに反応がない。神木は続けて、 「おい」 「……」 「おい」 「……ぅ……」 神木の呼びかけにセイシアはようやく気づくと、小さな声を漏らしてうっすらと瞳を開け神木を見る。 「……げ……て……」 「……あ?」 「に…げ……て……」 セイシアは言った。 逃げて、と。 この状況の中、自分の状態を知っていながら、自分が死ぬと分かっていながら、 それでも言う。 自分より他人の命を心配して、セイシアは言った。 逃げてと。 「…………」 そんなセイシアの姿を見て、神木はこう言った。
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