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『セイシア、お前のその力を人の役に立てなさい』 分かっていた。 両親が言ったその言葉の意味を。 自分に恐れていることを。 そしていつかこの言葉を大好きな両親から言われる日が来るということも。 __自分がここにいてはいけない。 この歳で自分より他人を優先するような性格だったセイシアは、最後まで笑顔で両親と別れたのだった。 こうしてセイシアは、近くのある教会にシスターとして住み込むことになる。 セイシアが住むことになった教会を運営しているのは七十代ぐらいのお婆さんだった。 彼女の名前はマリー=カール。 『ようこそセイシア、綺麗な髪ね。ボロッチィとこだけど、今日からここがあなたの家よ』 マリーは能力者であるセイシアを快く迎え入れてくれた。 いや、マリーだけではない。セイシアの他にも、この教会にはたくさんの子供が住んでいた。 聞くところによると、ここにいる子供達も全員訳ありで、マリーに助けられたと言う。 だから教会にいる子供達は、セイシアを邪険にせず、仲間として迎えてくれたのだ。 こうしてセイシアは、教会のシスターとして生きることになった。
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