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幸せだった……。 食事はお粗末で、遊ぶ道具もなく、決していい生活とは言えなかったが、マリーがいて、エリスがいて、教会で一緒に暮らしている仲間達がいて……。 苦しい時もたくさんあるが、それ以上に楽し時が数え切れないほどあった。 微々たる幸せを噛みしめながら生きていくこの生活は、彼女にとって幸せの限りだった。 これで十分……。 これ以上の幸せは望まない。ずっとこのままでいいとそう願っていた。 なのに、 セイシアに対する運命は残酷で、彼女は自分で掴んだ小さな幸せすら手離すことになる。
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