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セイシアが十六歳になった年の春が終わる頃、教会では大掃除が行われていた。 その時、聖堂を掃除していたセイシアは、三メートルほどある十字架像の裏にあるものを見つける。 それは地下への階段だった。 四年ほど教会で暮らしていたセイシアとしては、自分の知らなかった存在に気になって、地下へと続く階段へと足を踏み入れた。 真っ暗闇を警戒しながら進む中、階段は思ってたよりも長く、三分ほどかけてよくやく平らな地面に足がつく。 セイシアは足下に注意しながら進もうとすると、突然視界が明るくなった。 眩しくて瞑った目を徐々に開け、周りを見渡す。 それで分かった事は、奥はなく、ここが正方形の室内で、部屋の隅四カ所に松明が置かれており、何もしていないのに赤々と火が灯っていた事だ。
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