5256人が本棚に入れています
本棚に追加
『あなたがどうやってその悪魔を封印から解き放ったのかは分からないけど、あなたの体には確かに悪魔がいる。
私には見えるの、あなたの体に、小さいけれど黒く濃い魂のようなモノが……』
セイシアは焦点の合ってない瞳でマリーを見ると、こう問いかける。
『私は一体どうしたらよいのでしょうか……?』
その問いに、マリーはセイシアから顔を背け、震える唇でこう告げた。
『封印から解放されたばかりの悪魔の力はまだ弱いわ。けれど、あなたの体から力を吸い取り力を蓄え、やがてあなたを殺すでしょう』
「…………っ!!」
絶句し、怯えるセイシアに、マリーは安心させるよう優しく言った。
『大丈夫よセイシア。私に悪魔を封印するほどの力はないけれど、助けてくれる知り合いならたくさんいるわ。必ずあなたを救ってみせる、だから安心しなさい』
「…………はい」
セイシアは、震えながら首を縦に振る。
しかし、マリーの言葉通りにはいかず、二日後、教会に白い軍服を着た人間がたくさん押し寄せ、彼らはセイシアに向かってこう言い放った。
『正義組織ジャスティス日本支部のモノです。ある事情により、セイシア=クラリネットの身柄を拘束します』
そうしてセイシアは抵抗する事も別れの言葉も言えないまま、日本へと連れていかれたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!