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セイシアは能力を使い、ずっとその場所に佇んでいる男性の思考を読み取る。
何故彼女がそんな事をしたのか、彼女自身も分からなかった。
ただ純粋に、気になってしまった。それだけの事。
セイシアは男性の思考を読み取ると、若干の切なさが湧き出る中こう思った。
(そうゆう……事ですか。……でも仕方がない事ですね)
何がそうなのかは、彼女にしか分からない。
すると、セイシアが見ていた男性は、踵を返してゆっくりとそこから立ち去ってしまった。
(私も、“あの子”と一緒なのですね……)
太陽が沈みかけ、途方に暮れている中、セイシアは突然驚愕した。
なんと、さっき立ち去ったはずの全身真っ黒な男性が、小さな袋を手に持って戻って来たのだ。
彼女はもう一度、能力を発動させる。
(さっき考えていた事と違うことをしている……?それに__、)
気づけば彼女はまた気になっていた。
あの黒き男性のことを。
そして彼女は、ずっと鎖に縛られていたように一歩も動かなくなっていた両脚を動かし、彼に近づいて、声をかけた。
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