終章

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「それってさ、案外簡単な話しなんじゃない?」 「……どういう事だ」 女性は憂いを含む声音で、 「アイツの能力なんて、あんたの言うとおり関係ない。 ただアイツは、神木優人は、今さら“偽物”の地獄を見せられたって、へっちゃらってだけの話しよ。“本物”を見てきたアイツにとっては……ね」 「…………」 沈黙する裏表に、女性は苦笑して続けた。 「それは別にアイツだけじゃないわよ。あんただってそうだし、ここに居ない二人だって、地獄の一つや二つは体験してるでしょ?」 女性のその言葉に、彼は「……そうだな」と呟き、続けて問いかける。 「二つ目の質問だ。ロガッタは何故場所を学院に選んだ? 確かにクラリネットが奴に捕らわれたのは学院の近くだったが、学院には人もいれば、セキュリティーだってある。 正直言ってわざわざリスクが大きい学院を選んだ意味がわからねぇ」 裏表の疑問に、女性は一度頷いて、 「そうね……私もそれは最初から思ってた。けどこの質問に答えるには説明が長くなるんだけど、それでもいい?」 裏表は口を開かず静かに首を縦に振る。 それを見た女性は、二つ目の質問に答える。
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