知らない記憶

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「あれ…山崎さん、もしかして大阪の言葉をお使いですか?」 「なんや…」という先程のセリフにもしやと思い、尋ねてみたところ彼は大阪出身なんだそうだ。 「まあ…ここでは敬語を使わせて頂いてますよ。監察という仕事上、本人が特定出来るような特徴は持ってはいけませんから」 「へえ、なるほど」 「沖田さん…この話し、確か前にもしませんでしたっけ?」 「あ、あれ!?分からないです!きっと忘れちゃったんですよ!」 余りにも必死に弁解する様子に山崎はククッと笑い声をあげた。 こんがりと日焼けした肌に合う白い歯に、笑うとくっきりと見える笑窪がとても可愛らしく、無表情だった仕事時の彼とはギャップがあった。
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