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「よし、着いた!」
朝餉の後、土方に外出許可を貰い、原田を追うこと約十分。
相変わらず今日も風は強く、砂埃が激しい。
「甘味処、ですか」
この時代に来てからは何度か訪れたことがある。
ここの店で働いているおまさという女の子とは、町で唯一の友達という関係にあり、世間話をよくしていた。
「そうそう、まあ…座ろうや」
今日の原田はそわそわしていて、どこかおかしい。
赤い長椅子に腰掛けた彼だが、目線はあの女の子、おまさに向けられていた。
「原田さん、何か目的あって来たのではないですか」
「…あーあ、もうばれちまったか!実はだな、俺ぁおまさちゃんとちょっと喋りたくてよ…でも俺一人じゃ話し掛ける勇気がねぇんだ」
つまり、普段仲の良い友梨奈を架け橋にするというわけだ。
「もう…、じゃあ呼んでくれば良いんですね」
「そうそう!頼むぜー!」
天下の色男とも呼ばれる原田之助が自分から女の子に声を掛けれないなど、異例である。
そんな彼が惚れたおまさは、まだ若く目のパッチリとした可愛らしい娘であった。
店の暖簾をくぐると、お盆を持ったおまさがいた
「あら、沖田さんこんにちは」
「こんにちは。おまささん今、手空いておりますか」
「はい。少しだけなら時間はありますよ。丁度休憩の時なので」
「良かった!じゃあちょっと外へ来て下さい!」
ぐいっと赤い着物の裾を引っ張り、おまさを外へ出す。
そこには満面の笑みをした原田がいた。
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