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頭の中に鉛が詰まっている様な感覚、意識ははっきりしているはずなのに指が一本も動かせない。
まるで動かし方を忘れてしまったかの様に、まるで自分の身体ではないかの様に。
「…うっ……」
「もう、助かる見込みは…」
俺は死んでしまうのだろうか、自分の名前を思い出す事もなく、何も遺す事もなく。
~*~
視界一面に乳白色の天井が映る、一目見ただけでも普段の生活で見た事無い物だとわかる。
「目覚めたか、気分はどうかにゃ?」
「悪く…ないけど、ただ混乱してます…」
隣にいたのは白と黒の服を着た12歳くらいの女の子、ただし猫の様な耳と2本に見える尻尾の様なものがあるので違和感がある。
「ここは…?」
「プルメリア区13番地の偉い人の家だよ、見た感じキミはここら辺の者ではないね」
プルメリアと言う単語は俺の頭の中に少しだけ入っているが地名で聞いた事はない、羊皮紙の地図まで出してくれたが見憶えの無い形だ。
「名前と何処から来たのかを教えてくれる?」
「俺は……」
それ以上の言葉が出てこなかった、ドロ水が頭から喉にかけて詰またかの様に重く動いてくれないのだ。
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