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「リオ。次のライブ、リオが仕切ってね」
そんなユナの言葉に、リオは目を丸くした。
今は昼休み。
パンを買いに廊下に出たときに、ユナとはばったり出会った。
緩くウェーブがかった青毛という、目立つ出で立ちのユナを見逃す筈がない。
「何、言ってるの先輩。それは先輩の役目じゃ」
弁明するが、ユナはかぶりを振った。
「主催が決めたことよ、逆らえないわ。次の進行役はリオだから」
有無を言わせぬ強い口調には、口をつぐむしかない。
普段は強気のリオも、ユナには逆らえない。
それだけ告げて去っていく相手の背中を、鼓動が早くなるのを感じながら見送った。
リオこと結城 理緒は、ユニット“μRo(ミューロ)”に所属する歌手。
中学二年生の頃、14歳でデビューしてすぐに、ユナこと松中 佑奈とは出会った。
芸能界では自分より11ヶ月先輩にして2年11ヶ月早く生まれた彼女は、当時16歳。
それでも、凛とした大人の振る舞いは今と変わりない。
それからリオとユナのユニットであるミューロが結成されるまで、時間はかからなかった。
リオはユナの元で必死に歌を練習した。
あれから1年半。
ユナと同じ高校を選び、少ないが友達もできた。
皆、歌手というだけでどこか敬遠していたが、今では慣れたようだ。
歌手活動と高校生活の両立は難しいが、それはユナも同じこと。
文句は言っていられない。
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