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そうと決まれば行動開始。
前にある机の向きを逆にし、俺の机にしっかりと合わせる。
そして森崎はニコニコと、眉を上に吊り上げながら座った。
やる気満々なのはよくわかった。
が、しかし、俺はやる気がない。単なる暇つぶしだと言うことを理解してほしい。
「さぁ、始めましょう!」
ダメだ、ハンパな気持ちでやれば殺される。
語調からもわかる。コイツは、ハンターだ。
心の内で苦笑いを漏らし、俺は座り方を正す。
そして、机に肘を着き、口の前で指を絡ませた。
はい、社長のポーズ。
「お互いの立場だけど、私は夢がある。あんたには夢がない、それでいいよね?」
俺は頷いた。あながち間違いではないが、強いて言うなら死なないことが夢だ。
だからこうして森崎に付き合っている。
ふぅー、と森崎が息を吐き、静けさが訪れ、わずかな空調の音が耳を通った。
そして、始まる。
「あたしね、夢ってさ、やっぱり持つ方がいいと思うのよね。それだけで人生が変わる。どう?」
森崎は首を傾げ、尋ねてきた。
その仕草が異様に可愛らしく見えて、しばし動揺する俺だが、ちょっと待てよ?
論争って、こんな緩い感じなのか?
そうなのか?
……そうなのか。
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