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「機嫌悪そうね」
「誰かさんのせいでな」
皮肉を込めて俺は言うのだが、森崎は何の反応を見せずに再び唸った。
なるほど、都合の悪いことはスルーと。
しかしまぁ答えを待つだけで、それ以外にすることがない。
寝ることを禁止された今、できることと言えば考え事のみ。
「そうよ。諦めずに頑張ればいいじゃない!」
俺が考え事を考えようと目を閉じた時、不意に森崎が声を上げた。
ニヤッと誇ったような笑みを浮かべたまま、森崎は腕を組んだ。
ようやく話が動き出す。
「ずっと頑張ってきた夢が叶わなかったから何? それならもっと頑張ればいいじゃない!」
実に森崎らしい、前向きな意見だと思う。
出会って二日目でらしいも何もないが。
だが所詮は綺麗事。
「そう簡単にできると思ってるのか? 一度挫折してだぞ?」
「できるできないじゃない。やるのよ」
森崎は俺を黙らせると、続けた。
「ずっとそれに向かって頑張ってきて、もう後戻りもできないんでしょ? ならやるっきゃないじゃない。そんな壁乗り越えてみせなさいよ!」
簡単に、簡単に言ってくれるじゃないか。
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