これでいいのか?

6/13
前へ
/25ページ
次へ
「機嫌悪そうね」 「誰かさんのせいでな」 皮肉を込めて俺は言うのだが、森崎は何の反応を見せずに再び唸った。 なるほど、都合の悪いことはスルーと。 しかしまぁ答えを待つだけで、それ以外にすることがない。 寝ることを禁止された今、できることと言えば考え事のみ。 「そうよ。諦めずに頑張ればいいじゃない!」 俺が考え事を考えようと目を閉じた時、不意に森崎が声を上げた。 ニヤッと誇ったような笑みを浮かべたまま、森崎は腕を組んだ。 ようやく話が動き出す。 「ずっと頑張ってきた夢が叶わなかったから何? それならもっと頑張ればいいじゃない!」 実に森崎らしい、前向きな意見だと思う。 出会って二日目でらしいも何もないが。 だが所詮は綺麗事。 「そう簡単にできると思ってるのか? 一度挫折してだぞ?」 「できるできないじゃない。やるのよ」 森崎は俺を黙らせると、続けた。 「ずっとそれに向かって頑張ってきて、もう後戻りもできないんでしょ? ならやるっきゃないじゃない。そんな壁乗り越えてみせなさいよ!」 簡単に、簡単に言ってくれるじゃないか。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加