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論争はこれで終了。勝ち負けは? と俺が森崎に尋ねると、
「あら、評論に勝ち負けなんてないわよ?」
と言ってのけた。
論争とか言ってやがった癖に、そこはしっかりしてると言うか、何と言うか……。
何はともあれ、論争は平和に終了し、俺達は帰路を歩いていた。
西に傾いた日差しが俺達を照らし、長い影が二人を繋ぎ合わせていた。
そんなことを考えてしまうと照れる俺がいて、そろそろどうかと思う。
「古谷は部活決まったの?」
自転車をチャリチャリと鳴らしながら森崎が聞いてきた。
俺は少し遠い所から来ていて、通学には電車を有する。
だけども森崎は家が近場にあるらしく、この通り、自転車通学というわけだ。
「まだ二日目だぞ? どんな部活があるのかも俺は知らん」
特に前半の部分の語調を強めて俺は言った。
まだ二日目。何に入るかも決めていないし、どんな部活が有るのかも知らない。
これが普通だ。
「野球部にサッカー部、バスケ部に陸上部は当然でしょ。で、確かテニス部は県内有数の強豪だったわね。あと珍しいのは落語研究部とか、馬術とか、薙刀とか。ラクロスってのもあったよね?」
いや、俺に聞かれても。
つか、森崎は何故にここまで詳しいのかと思う。
「そりゃ調べてるわよ。自分の通う学校だもん」
あー、はいはい。
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