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その後もつらつらと部活を挙げていく森崎を余所に、俺は自分が部活に励む姿を当て嵌めてみた。
野球、サッカーの経験はないから除外。
テニス部は、少しシュールな感じになる。
バスケ部はそうだな、割と合うんじゃないだろうか。
落語に興味はない。ラクロスはわかるが、ルールが謎。
薙刀? ふと柄の長い刀を持つ姿を想像した時、何故か森崎がそこに現れた。
袴に身を包んだ森崎が、威風堂々と薙刀を構えている姿。
似合う。
「なぁに笑ってんのよ。まさかアニ研にでも興味が湧いたわけ? やだオタッキー」
森崎は眉を寄せ目を細め、しっしっと手で掃った。
帰っても良いなら速攻で走り出すのだが、俺はオタクじゃない。
走り出せば、オタクを肯定することになってしまう。
「違う。俺はオタクじゃない」
「じゃあ何で笑ってたの?」
言えない。とても袴姿の森崎を想像していたなんて、言えない。
しばしの沈黙が訪れ、俺は思考を巡らせた。
何か、何かうまい言い訳はないだろうか。
「えぇ? やっぱりアニメ大好きなんじゃないのぉ?」
「妙な話し方をするな」
とは言え、うまい言い訳が見つからない。
何か、打開策が。
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