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それは少しばかり時を遡ればわかること。仕方ない、思い出してみるか。
どこか理不尽な点が見つかるかもしれん。
今日は、私立興盟高校入学して二日目。
そう、授業の始まる初日である。
と言っても、大方は自己紹介だの教科書の配布だので時間を使い、授業らしい授業はやっていない。金返せ。
そして事は今日の最終授業、四限目に起きた。
確か現代文の授業で、教師は坂下と言ったかな。
随分と若く、歳にすると28ぐらい。先生と言うよりは同級生のような感じだ。
坂下は言う。
「今日は自己紹介がてら、皆の夢を聞かせてもらおうかな!」
提案ではなく押し付け。
そういう教師なんだろう。やると決めたことはやる。
立派な考えだが、若干めんどくさい。
坂下は溌剌とした表情を浮かべたまま、一枚の紙を配る。
名前の欄、出席番号、クラス、そして長方形の枠が一つ。
この中に夢を書けと、別に描いたって構わないと、坂下はつまらないことを言った。
そんなもん書けるわけがないだろうが。まだ高校生だぞ? この世に生を授かって16年だぞ?
そう思って周りを見た。
それは俺の予想と少し、いや、180度丸ごと違った光景だった。
「教師に医者に政治家に、もしかしたらタレントになりたいやつだっているかもしれないな!」
実に溌剌とした教師だ。嫌いではないが、うん、嫌いだ。
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