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そして彼女はムスッとし、尚も口パクで何かを伝えようとした。
通訳するに、ホウカゴ、スコシツキアッテ。
要約するに、血祭りに上げてやる。
漫画なら一目惚れやら何やらで告白されるシチュエーションだが、現在の俺に於ける状況、雰囲気、そして彼女に対する俺の勝手な想像図から、うん。告白は有り得ないな。
告白ならそれはそれで構わない。顔も悪くはないと思うし、まだわからんが退屈するような性格でもないだろう。
なら僅かな可能性に賭けて行ってみるか? いや、やだな。
めんどくさい、というより、なぜ高校生活二日目で呼び出しを食らわなきゃいかんのか、というふがいなさが渦巻き、俺の首を縦には振らせない。
しかしだ、もしこれで行かなければどうなるか。
答えは簡単、彼女の風貌からするに、逝かされる。
どっちが得策って、そりゃ俺は死ぬのはゴメンだ。強いて言うなら、死なないことが夢だ。
「……はぁ」
ついつい溜め息が漏れる。まぁ仕方ないさ、行って適当に話をしよう。目的はわからないが、逝くよりはマシというもの。幕ノ内のOL100人に聞いても全員が行けと言うだろうよ。
そしてチャイムが鳴って、紙が回収されて、もう一度彼女と目があって、そして放課後へ。
彼女の目が輝いていたのは、気のせいだと思いたい。
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