委員長と色彩学園

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透俐が行った途端、喧嘩はみるみるうちに解決へと転がった。 「相変わらず解決の仕方は無理矢理感満載だな」 「まぁそこが透俐らしいですけどね」 「………」 一連の流れを見て言葉を発さない翼に朔夜と理緒は問いかけた。 「どうだ」 「何か感じるところはありましたか?」 真っ直ぐ、一点を見ながら答える。 「正直言って無茶苦茶だと思いました。けど…」 目線の先には透俐の姿。 「流石委員長だねぇ!」 「やるときはやる人だな!」 「お前ら見てないで止めようとしろよ…」 「普段は出来るくせに何もしないけどな」 「うるせぇ!」 周りの生徒は何だかんだ透俐を頼りにしているようで。それは紛れもない信頼。 「いつもは真面目に仕事しないし、委員長らしいところなんて見当たらないけど、あれだけの信頼を得る何かがあるんだと思います」 そうじゃなきゃ生徒を取り締まるため嫌われがちの風紀委員の、それこそ委員長があんなに好かれるとは思えない。 「三上先輩が言っていたこと、少しだけ分かった気がします」 その言葉に、理緒は嬉しそうに笑った。 「まぁもっとちゃんと働けば文句ないんだがな」 朔夜のもっともな考えに翼と理緒は笑みを溢す。 「このまま風紀委員会にいれば、あの人のことがもっと分かるかな…」 「さぁな。まぁそこまで深い人間じゃないがな。あいつは」 「ですね」 透俐について語るどこか楽しそうな先輩二人から視線をはずし、もう一度透俐へと向ける。 他の生徒と戯れるその自分より小さな背中はどこか大きく逞しく見え、その人が委員長をやっている風紀委員会にいる自分が少しだけ誇らしく思えた。
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