2477人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだ、しんぼ「却下」…まだ最後まで言ってないんだ「却下」…」
一心不乱に作業をこなしながら透俐の台詞を切り捨てていくのは他でもない朔夜。
「委員長の話は最後まで聞きたまえよ副委員長」
「最後まで聞いたって仕事の邪魔しかしないろくなこと言わないでしょう委員長」
「あんまり冷たくしてると浮気しちゃうわよダーリン」
「真面目に働いてくれたらいつでもかまってやるよハニー」
「働きたくない。でもなんかしたい」
「嘗めるな」
ただただ無表情で言葉を返す朔夜に拗ねた透俐は、理緒ー、と机に項垂れながら自分の味方をしてくれるであろう理緒を呼ぶ。
「どうしました?」
「朔夜が俺の話を聞かない」
「朔夜は忙しいですからね」
「そうですよ。たまにま手伝ったらどうですか透俐先輩」
翼の言葉に駄目だ、と返すと透俐は上体を起こして足を組む。
「今日はしん「おーす!元気だった?ハニー!」………」
突然入ってきて透俐の台詞を遮ったのは綺麗な金髪のイケメンさんだった。
「ちょっ!誰ですかあなた!しかもその髪!それで風紀委員の前に現れるなんて喧嘩売ってんですか!?」
「落ち着いてください翼君」
混乱した翼が捲し立てるのを理緒が宥める。そこで仕事が一段落ついたのか朔夜が今気付いたと言うように顔を上げる。
「おぉ優太、来てたのか」
「あぁ、お久し振りです朔夜さん。相変わらず俺の透俐さんに付きまとってるんですか?」
「お前のじゃねぇし付きまとってねぇよ」
話始めて早々に火花を散らし始めた二人を慣れたように理緒が止めに入る。
「はいはい二人共そこまで。翼君がそろそろパンクしてしまうので一回落ち着いて状況整理しましょう」
その提案に慌てて待ったをかけたのは今まで台詞を遮り続けられてきた透俐。
「ちょっ!俺の話は」
「後でいいですよね?」
「いや、あの…」
「いいですよね?」
「…はい」
理緒は意外にあまり逆らわない方がいい人物だと悟った瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!