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「じゃあまずは自己紹介からさっさとしろ」
「透俐、そんなに拗ねないでください。じゃあここは年下の翼君から」
「あ、はい!風紀委員一年、佐原翼です。よろしくお願いします」
名前を名乗ると礼儀正しくお辞儀をする。
「へぇ一年生!新しく入ったんだね」
イケメンさんは愛想がいい笑みを見せながら自らも自己紹介を始める。
「風紀委員二年、篠崎優太だ。透俐さんに手出ししたらあの世より酷いところに送ってやるから覚悟しろよ」
「風紀委員だったんですか!?てか…はぃ?」
素晴らしい笑顔でいい放った素晴らしくカオスな台詞に翼の声が裏返る。
「そいつは熱狂的な透俐愛好者だ」
「愛好じゃない。愛してるんだ」
朔夜を睨む目は真剣そのもので、嘘偽りのないことを伝えるには充分だ。
「ところで、優太先輩はなんで風紀委員なのに髪を染めているんですか?」
「いきなり名前呼びか」
「名字呼び禁止と透俐先輩が決めたので」
「透俐さんが?ならいい」
真面目な翼からしたらどうしても気になるのだろう。その問いに答えたのは透俐だった。
「優太はハーフだからな。それは地毛だ」
「ハーフ…ですか」
道理で背が高い訳だ…翼も大概高い方だがその翼よりも少し高いのだから相当だろう。
「まぁこの髪のせいで面倒なことも色々あったけど、そんなのどうだっていい」
透俐が座る椅子の背にまわると、後ろから抱き締めるように腕を回す。
「透俐さんが褒めてくれたあの日からね」
「やめろ暑苦しい」
迷惑そうにする透俐に対して優太は機嫌がよさそうに笑う。
「じゃあなんで今まで委員会に来なかったんですか?俺ここ来てしばらく経ちますけど一度も見かけたことすらないですよ?」
「それは家庭の事情ってやつだ。暫く休学してて今日やっと帰ってこれたんだよ」
何を隠そうこの学園はセレブ校。親が社長や家元なんてことはざらにある。家庭の事情ということも別段珍しくはないだろう。
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