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「俺の家は、ていうより父親が警視総監です」
「驚く程しっくりくるな」
透俐の言葉に朔夜も理緒も同じことを思ったのか小さく頷いている。
「小さい頃から格闘技を習っていたので強さには自信があります」
翼が少し誇らしげな顔をする。そこに優太が声をかける。
「俺も格闘技には自信があるよ。今度お手合わせ願いたいね」
「ええ、是非」
優太の申し出に翼も挑発的な笑みで応える。
「じゃあ次は優太先輩、お願いします」
「了解。俺の家はアパレル関係の会社を経営している。祖父からデザイナーの家系なんだ」
「あぁ…それもなんか似合いますね」
「因みに兄はモデルをやっているよ」
「まさにファッション一家ですね。じゃあ優太先輩もモデルを?」
「いや、俺はどっちかというとデザイナー志望なんだ」
「そいつと遊びに行くと面倒でしかたないぞ」
「確かにあの時は大変だった」
「ですねぇ」
その時のことを思い出しているのか透俐と朔夜は疲れたように項垂れ、理緒は困り果てたような笑みを浮かべる。
以前、具体的には翼が入学する前、四人で街へ出たことがあった。遊びに行くからには勿論全員私服な訳で。
「ハーフでスタイルがいい上顔もよく、デザイナー志望なので服のセンスもいい優太君と歩いているとことあるごとに声をかけられて大変だったんですよ」
「へぇ、でもそれって優太先輩だけのせいではないような…」
翼は風紀委員の面々を見渡す。何故だかもれなくイケメンばかり集まっている風紀委員会が外に出れば、騒ぎになるのは優太だけのせいではないだろう。声をかけられても優太のせいだけだと勘違いしている先輩三人を想像して翼は苦笑した。
「まぁ俺は透俐さん以外興味はないけどね」
ハートを飛ばしながら透俐を見る。
「それにしても、皆でお出かけ…ですか…」
小さく呟いた翼を横目に透俐は頬杖をつきながら少し大きめな独り言を溢す。
「俺、今度見たい映画があるんだよな」
「!」
「水族館にも久しぶりに行ってみたいし、他にも行きたいとこ沢山あるんだが」
翼を見ながら微笑む。
「今度遠出してみるか…皆で」
「~っ!はい!」
嬉しそうに笑って返事をする翼に、透俐も楽しそうに笑った。
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