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「いい加減にしてください委員長!」
机を勢いよく叩いて立ち上がったのは、長身でいかにも正義感が強そうな少年だった。
「いつもいつも仕事してるのは井上先輩ばかり!真面目に働いてください!」
彼、佐原翼は今年入ってきた一年生。正義の為という何とも立派な理由で風紀に入った人物である。
「まぁまぁ佐原君落ち着いて!」
「三上先輩は黙っていてください!」
翼を止めようとしたのは三年生の三上理緒。いつも明るく、柔らかい空気を纏っている。因みに朔夜、透俐と同じクラスだ。
「大体三上先輩は色無先輩に甘すぎです!井上先輩も!もっとなんとか言ってください!」
「なんとか」
「どつきますよ」
「そんなかっかするな佐原。イライラには実はカルシウムじゃなくビタミンCがいいらしいぞ」
「あなたのせいでイライラしてるんですよ!」
「諦めろ。こいつには何を言っても変わらん」
「それが委員長ですからね」
朔夜と理緒の態度に翼は更にイライラを募らせる。
「風紀委員はもっと威厳を持って常日頃から厳しくあるべきです!」
「佐原」
声をかけたのは透俐だった。
突然呼ばれた翼は少し返事をつまらせる。
「っ!な、なんですか」
「そう気張るな。いざって時上手くいくことも上手くいかなくなる」
「……見回りに行ってきます」
無表情ながらも何かを秘めた目に見つめられ、翼はバツが悪そうに顔を反らすと部屋を出ていった。
「……いいんですか?委員長」
「なにがだ?」
「いえ、なんでも」
「?まぁいいや。理緒、お茶入れて」
「はいはい」
鞄を漁り毎日持ち歩いているお菓子を取り出すと袋を開けて呟く。
「はぁ…暇」
「だから仕事しろ」
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