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「委員長!」
翼が出ていった後の風紀委員会室では理緒が入れたお茶と透俐が持ってきたお菓子で休憩をしていた。そこへ騒々しく扉を開ける音と透俐を呼ぶ声が飛び込んできた。
「はいはい委員長ですが?どした?」
チョコレートを食べながら答えた透俐に入ってきた生徒は焦ったように詰め寄る。
「今廊下で喧嘩があって…!」
「喧嘩だぁ?」
いかにも嫌そうに透俐は顔を歪める。
「とにかく来てください!」
「うぉっ!ちょっ!」
「ちょっと待て」
透俐の腕を引いていこうとするのに待ったをかけたのは朔夜。
「佐原が見回りにいってたはずだ。あいつはどうした?」
「そういえば…佐原君なら喧嘩くらい止められますよね」
朔夜の言葉に理緒も重ねる。
「それが…佐原君は止めに入ったけど喧嘩してる二人は話を聞かなくて…」
話を聞くと透俐は小さく溜め息をついた。
「あいつも大概堅物だからなぁ…訳も聞かずにやめろとかいったんだろ」
喧嘩の仲裁に入って必死に自分の話を聞かせようとする翼の姿が容易に思い浮かび、朔夜は額に手をあて頭を左右に振り、理緒は苦笑い。
「どうします?委員長」
「行くのか?委員長」
「しょうがないだろ」
椅子から立ち上がり、扉へと歩み出す。
「朔夜、理緒…行くぞ」
「「了解」」
置物委員長が重い腰を上げ、風紀委員会が動き出す。
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