初めての再会

3/6
前へ
/227ページ
次へ
男は、ニヤつきながら、思い切り、私の腕を捻り上げた。 「…イヤっあ!…うぅ…ぁああ!!」 骨が、ギシギシいって、いつ折れても不思議じゃなかった…。 痛みで、意識がなくなりそうになった瞬間、耳元で、聞こえた声に、救われた。 「…か弱い女相手に、ちょっと、酷くないかい?そこのお兄さん。」 倒れ込む私の体を、男らしい逞しい腕が、支える。 聞き覚えのある声…悠一?まさか!…悠一なの? 意識を、手放す瞬間に、一抹の期待を胸に、振り仰いだ先にあったのは、なんとなく見覚えは、あるけれど、愛しい悠一では、なかった…。 同時に、私の胸は、私の思いとは、関係なく、大きくトクンと、高鳴り、私の中の誰かが、何かを、呟いた…。 「…返せよ、そこの女。」 「ダメだね。彼女は、お前に連れては、行かせないし、お前の欲しい物も、渡せないな。」 「…お前も、守護者なのか?」 「さて、どうかな? …俺と一戦、交える気なら受けて立つけど。」 「ムカつくなぁ!」 言い終わらないうちに、男の両手には、小型のナイフが、握られていて、ほんの刹那…瞬きするほどの時間に、投げていた。 チィ~ン いつの間にか、悠一似の男の手にもナイフがあり、投げつけられたナイフを、弾いていた。 一瞬できた、間合いに、彼は、私を抱いたまま、移動する。 路地脇の物陰に、隠す様に、私を、もたせ掛ける…その時の私は、痛みで、意識をなくし、ぐったりしたままだった。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加